人生を豊かにする、太極拳教室

「定年後、何か新しいことを始めたいけれど、きっかけが掴めない……」 そんな思いを抱えながら、これからの過ごし方を模索している方も多いのではないでしょうか。

今回お邪魔したのは、川口市シルバー人材センターが運営する「太極拳講座」。そこで目にしたのは、習い事という枠組みを超えて、自分らしく楽しい時間を過ごす受講生の方々と講師の先生の姿でした。

86歳の現役講師が教える、本格的な太極拳

この講座の核心を担うのは、講師の髙橋廣子(たかはし ひろこ)先生です。アンケートを拝見して、まず驚かされたのは、その圧倒的なキャリアと情熱でした。40歳から太極拳の道に入り、わずか5年で指導資格を取得。以来、指導歴は41年におよび、日本武術太極拳連盟公認のA級指導員として選手の育成や「ねんりんピック」のコーチまで務めてきた、まさに太極拳界の大ベテランです。

髙橋先生が川口市へ移り住んだのは、ちょうどコロナ禍の真っ只中でした。慣れない土地で知り合いもいなかったため、地域との繋がりを求めてシルバー人材センターの門を叩いたことが、この教室の始まりだったといいます。

「最初は、普通に仕事を探すつもりだったのよ」と語る先生。しかし経歴を見たシルバー人材センターの職員から声をかけられ、太極拳教室を始めることに。今では受講生たちの姿勢が見違えるほど改善されたことに、やりがいを感じているそうです。

「できない」からこそ夢中になれる奥深さ

太極拳教室は月曜日と木曜日の2グループで月に2回ずつ活動しています。取材に伺った木曜日のクラスには現在10名のメンバーが在籍しており、体力向上や健康維持、そして仲間づくりのために集まっています。

講座終了後、受講生の皆さんは、本当に生き生きとした表情でこう語ってくださいました。「太極拳は奥が深くて、やってもやっても終わりがない。できない(=難しい)のが、逆に面白いんだよ」

日本武術太極拳連盟公認のA級指導員という、確かな資格を持つ先生の指導は非常に論理的です。単に「形を真似てください」と言うのではなく、体の仕組みに基づいた「なぜこの動きが必要なのか」「膝を痛めないためにはどう足を踏み出すべきか」という根拠を丁寧に解説し、受講生の体力に合わせた配慮なども含めて細かく指導に当たっています。

私たちが太極拳にハマった理由

講座終了後に、受講生それぞれの個性が光る「声」を伺うことができました。

  • 空手経験者の押切さん: 「もともと空手をやっていたんですが、太極拳の動きには空手とは違う面白さがあります。円運動というのかな。相手に向かっていくというより相手の動きと合わせる感じ。短気な自分に向いてるんじゃないかと思って続けています」
  • 身体を動かすのが好きな加藤さん:「コロナ禍をきっかけに、シルバー人材センターでの仕事を辞めたんです。でも半年くらい経って、なにか身体を動かさなきゃと思って太極拳を始めました。月に2回では物足りなくなってきたので、月に3〜4回はやりたいですね」
  • 好奇心旺盛な田辺さん: 「私は家から45分歩いて通っています。最初は指導熱心な先生の魅力に惹かれて入ったのですが、今はそれに加えて仲間と一緒に身体を動かしたりおしゃべりするのが楽しいんです。もう生きがいと言ってもいいくらい!」
  • 難しさに惹かれる小堀さん: 「現役時代は運動はそこそここなせるほうだったのに、太極拳だけはどうも上手くいかない(笑)。でもその難しさが、続けている理由かな。今は公民館での太極拳教室にも通って、月に5日はやってるんだけど、やってもやっても奥が深くて難しいんだよ」

講座終了後のお楽しみ「大人の放課後」

インタビュー中、皆さんが最も柔らかな笑顔を見せたのが、講座の後の集まりの話題でした。 実は、帰りに受講生みんなで集まって賑やかな時間を過ごすのが恒例になっているのだそう。

講座で分からなかった動きを教え合ったり、他愛ない話で笑い合ったり。気づけば1時間半以上話し込むこともあるそうです。その様子はまさに「大人の放課後」です。

「朝、今日は寒いから休もうかなと思っても、仲間からメールが来ると、じゃあ自分も行かなくちゃ!って元気をもらうんです」

そんな発言からも、この太極拳教室が単なる「身体を動かす場所」ではなく「一生モノの仲間」と過ごす、温かな居場所なのだと強く実感させられました。

「求められる」ことが生む、新しいやりがい

髙橋先生のように、自分の特技を活かして、誰かの役に立つという働き方ができるのも、シルバー人材センターの大きな魅力です。

長年培ってきたものを地域の中で役立てる。その積み重ねが、自分自身の生きがいや充実感につながっているようでした。

髙橋先生は自らの太極拳をさらなる高みに持っていくための学びを続けながら「太極拳教室の学習時間を1時間30分に増やしたい」と、次なる展望も描いています。

おわりに

川口市シルバー人材センターには、働くことだけでなく、趣味を深めたり、新しい仲間と出会ったりするきっかけが、太極拳教室以外にも、数多く用意されています。

「これからの時間を、もう少し充実させたい」
そんな思いがふと芽生えたとき、シルバー人材センターに新しいきっかけが待っているのかもしれません。

シルボンヌK子

人生を豊かにする、太極拳教室

「定年後、何か新しいことを始めたいけれど、きっかけが掴めない……」 そんな思いを抱えながら、これからの過ごし方を模索している方も多いのではないでしょうか。

今回お邪魔したのは、川口市シルバー人材センターが運営する「太極拳講座」。そこで目にしたのは、習い事という枠組みを超えて、自分らしく楽しい時間を過ごす受講生の方々と講師の先生の姿でした。

86歳の現役講師が教える、本格的な太極拳

この講座の核心を担うのは、講師の髙橋廣子(たかはし ひろこ)先生です。アンケートを拝見して、まず驚かされたのは、その圧倒的なキャリアと情熱でした。40歳から太極拳の道に入り、わずか5年で指導資格を取得。以来、指導歴は41年におよび、日本武術太極拳連盟公認のA級指導員として選手の育成や「ねんりんピック」のコーチまで務めてきた、まさに太極拳界の大ベテランです。

髙橋先生が川口市へ移り住んだのは、ちょうどコロナ禍の真っ只中でした。慣れない土地で知り合いもいなかったため、地域との繋がりを求めてシルバー人材センターの門を叩いたことが、この教室の始まりだったといいます。

「最初は、普通に仕事を探すつもりだったのよ」と語る先生。しかし経歴を見たシルバー人材センターの職員から声をかけられ、太極拳教室を始めることに。今では受講生たちの姿勢が見違えるほど改善されたことに、やりがいを感じているそうです。

「できない」からこそ夢中になれる奥深さ

太極拳教室は月曜日と木曜日の2グループで月に2回ずつ活動しています。取材に伺った木曜日のクラスには現在10名のメンバーが在籍しており、体力向上や健康維持、そして仲間づくりのために集まっています。

講座終了後、受講生の皆さんは、本当に生き生きとした表情でこう語ってくださいました。「太極拳は奥が深くて、やってもやっても終わりがない。できない(=難しい)のが、逆に面白いんだよ」

日本武術太極拳連盟公認のA級指導員という、確かな資格を持つ先生の指導は非常に論理的です。単に「形を真似てください」と言うのではなく、体の仕組みに基づいた「なぜこの動きが必要なのか」「膝を痛めないためにはどう足を踏み出すべきか」という根拠を丁寧に解説し、受講生の体力に合わせた配慮なども含めて細かく指導に当たっています。

私たちが太極拳にハマった理由

講座終了後に、受講生それぞれの個性が光る「声」を伺うことができました。

  • 空手経験者の押切さん: 「もともと空手をやっていたんですが、太極拳の動きには空手とは違う面白さがあります。円運動というのかな。相手に向かっていくというより相手の動きと合わせる感じ。短気な自分に向いてるんじゃないかと思って続けています」
  • 身体を動かすのが好きな加藤さん:「コロナ禍をきっかけに、シルバー人材センターでの仕事を辞めたんです。でも半年くらい経って、なにか身体を動かさなきゃと思って太極拳を始めました。月に2回では物足りなくなってきたので、月に3〜4回はやりたいですね」
  • 好奇心旺盛な田辺さん: 「私は家から45分歩いて通っています。最初は指導熱心な先生の魅力に惹かれて入ったのですが、今はそれに加えて仲間と一緒に身体を動かしたりおしゃべりするのが楽しいんです。もう生きがいと言ってもいいくらい!」
  • 難しさに惹かれる小堀さん: 「現役時代は運動はそこそここなせるほうだったのに、太極拳だけはどうも上手くいかない(笑)。でもその難しさが、続けている理由かな。今は公民館での太極拳教室にも通って、月に5日はやってるんだけど、やってもやっても奥が深くて難しいんだよ」

講座終了後のお楽しみ「大人の放課後」

インタビュー中、皆さんが最も柔らかな笑顔を見せたのが、講座の後の集まりの話題でした。 実は、帰りに受講生みんなで集まって賑やかな時間を過ごすのが恒例になっているのだそう。

講座で分からなかった動きを教え合ったり、他愛ない話で笑い合ったり。気づけば1時間半以上話し込むこともあるそうです。その様子はまさに「大人の放課後」です。

「朝、今日は寒いから休もうかなと思っても、仲間からメールが来ると、じゃあ自分も行かなくちゃ!って元気をもらうんです」

そんな発言からも、この太極拳教室が単なる「身体を動かす場所」ではなく「一生モノの仲間」と過ごす、温かな居場所なのだと強く実感させられました。

「求められる」ことが生む、新しいやりがい

髙橋先生のように、自分の特技を活かして、誰かの役に立つという働き方ができるのも、シルバー人材センターの大きな魅力です。

長年培ってきたものを地域の中で役立てる。その積み重ねが、自分自身の生きがいや充実感につながっているようでした。

髙橋先生は自らの太極拳をさらなる高みに持っていくための学びを続けながら「太極拳教室の学習時間を1時間30分に増やしたい」と、次なる展望も描いています。

おわりに

川口市シルバー人材センターには、働くことだけでなく、趣味を深めたり、新しい仲間と出会ったりするきっかけが、太極拳教室以外にも、数多く用意されています。

「これからの時間を、もう少し充実させたい」
そんな思いがふと芽生えたとき、シルバー人材センターに新しいきっかけが待っているのかもしれません。

シルボンヌK子


PAGE TOP